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京都地方裁判所 昭和61年(わ)1299号 判決 1987年1月22日

本店の所在地

京都市右京区西院西高田町一七番地の一七

法人の名称

穂高産業株式会社

代表者の住所

京都市右京区嵯峨小倉山緋明神町一六番地の五

代表者の氏名

長尾嘉浩

本籍

大阪府豊中市南桜塚一丁目二〇〇番地

住居

京都市右京区嵯峨小倉山緋明神町一六番地の五

会社役員

長尾嘉浩

昭和一一年一二月一二日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官肱岡勇夫出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人会社穂高産業株式会社を罰金二五〇〇万円に、被告人長尾嘉浩を懲役一年六月に処する。

被告人長尾嘉浩に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人会社穂高産業株式会社(以下被告人会社という。)は、京都市右京区西院西高田町一七番地の一七に本店を置き、印刷業を営むもの、被告人長尾嘉浩は、被告人会社の代表取締役として業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人長尾嘉浩において、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  昭和五七年二月一日から同五八年一月三一日までの事業年度における所得金額が六、四二七万三、〇六五円で、これに対する法人税額は二、五四三万四、三〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上、架空の外注費及び架空の給料を計上するなどの行為により、その所得金額のうち五、五〇二万八、二七三円を秘匿するなどした上、同五八年三月二八日、同市右京区西院上花田町一〇番地所在の所轄右京税務署において、同税務署長に対し、所得金額はなく、納付すべき法人税額もない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同事業年度の正規の法人税額二、五四三万四、三〇〇円を免れ

第二  同五八年二月一日から同五九年一月三一日までの事業年度における所得金額が一億六一五万九、七六七円で、これに対する法人税額は四、三〇一万二、九〇〇円であるにもかかわらず、前事業年度と同様の行為により、その所得金額のうち一億二〇〇万一、三一三円を秘匿するなどした上、同五九年三月二九日、同記右京税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三六九万九、七九〇円で、これに対する法人税額が四九万五、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同事業年度の正規の法人税額四、三〇一万二、九〇〇円との差額四、二五一万七〇〇円を免れ

第三  同五九年二月一日から同六〇年一月三一日までの事業年度における所得金額は一億三、三〇〇万二二八円で、これに対する法人税額は五、五七九万一〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上、架空の外注費及び架空の給料を計上するなどの行為により、その所得金額の一部を秘匿の上、同六〇年三月二五日、前記右京税務署において、同税務署長に対し、所得金額は欠損九七万九、一四六円で、これに対する法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同事業年度の正規の法人税額五、五七九万一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官(大阪国税局収税官吏)に対する質問てん末書一一通

一  圓山京子の検察官に対する供述調書

一  野呂明子(二通)、圓山京子(二通)、西田年孝(四通)、宇野文博(三通)、内川直樹(二通)、平道輝(二通)、大嶋税(三通)、西田勝及び佐々木昭雄の大蔵事務官(大阪国税局収税官吏)に対する各質問てん末書

一  京都地方法務局登記官松井瑛郎作成の登記簿謄本

一  被告人会社作成の証明書

一  大阪国税局収税官吏大蔵事務官松本敏英作成の脱税額計算書説明資料

判示第一の事実について

一  大阪国税局収税官吏大蔵事務官松本敏英作成の脱税額計算書(検第4号)

一  右京税務署長作成の証明書(検第5号)

判示第二の事実について

一  大阪国税局収税官吏大蔵事務官松本敏英作成の脱税額計算書(検第6号)

一  右京税務署長作成の証明書(検第7号)

判示第三の事実について

一  大阪国税局収税官吏大蔵事務官松本敏英作成の脱税額計算書(検第8号)

一  右京税務署長作成の証明書(検第9号)

(法令の適用)

被告人会社の判示第一ないし第三の各所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に、被告人長尾嘉浩の判示第一ないし第三の各所為はいずれも同法一五九条一項に該当するところ、被告人会社についてはいずれも情状により同法一五九条二項を適用し、被告人長尾嘉浩についてはいずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で罰金二、五〇〇万円に、被告人長尾嘉浩については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年六月にそれぞれ処し、被告人長尾嘉浩に対し同法二五状一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 安井久治)

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